Salesforceの設定作業やフローの作成をしていると、「本番環境で試していいのかな?」と不安になる場面が出てきます。実は、本番環境でいきなり変更を加えるのはとても危険。そんな時に活躍するのが「サンドボックス(Sandbox)」です。本記事では、サンドボックスの基本から、どんな時に使えばいいのか、そして環境ごとの違いまで、解説します。



🔰 サンドボックス(Sandbox)とは?
Salesforceには、本番環境とは別に、自由に実験・検証ができるテスト用の環境があります。
それが「サンドボックス(Sandbox)」と呼ばれる環境です。
本番環境のデータや設定を壊してしまわないように、
まずはこのサンドボックスでテストしてから、本番に反映させるのが鉄則です。
✅ どういうときに使うの?
- 画面フローやレコードトリガーフローを初めて作るとき
- カスタム項目やレイアウトを変更・追加するとき
- アプリやAppExchange製品を試験的に導入してみたいとき
- ApexコードやLWCなどの開発や動作確認をしたいとき
- 本番と同じ条件でトレーニングやUAT(受入テスト)をしたいとき
👉 つまり、「影響が出たら困る操作」はぜったい本番じゃなく、サンドボックスで!
🧪 なぜサンドボックスが必要なのか?(実例つき)
例1)フローの更新で予想外の条件ミス
条件を「等しい(equals)」ではなく「含む(contains)」にしたまま実行したら、
関係ないレコードまで巻き込んで一括更新 → 営業部大激怒😱
例2)カスタム項目の設定ミス
入力規則(バリデーションルール)が誤って厳しすぎて、誰も保存できなくなる → 全社が停止😵
➡️ こうした事故は、本番環境で起きると元に戻すのが非常に困難です。
しかし、サンドボックスなら、テスト失敗しても被害ゼロ!
🧩 サンドボックスの種類と違い
Salesforceには現在、主に以下の4種類のサンドボックスがあります。それぞれ「保持できるデータ量」「更新の頻度」「目的」に応じて使い分けることが重要です。
種類 | データの種類 | 更新可能な頻度 | 使用例 | 備考 |
---|---|---|---|---|
Developer | メタデータのみ(設定・カスタマイズ情報) | 1日に1回 | フローのテスト、開発の練習、個人検証 | 契約プランにより複数作成可 |
Developer Pro | メタデータ+Developerより多いストレージ | 1日に1回 | チーム開発、小〜中規模アプリの開発 | Developerの強化版 |
Partial Copy | メタデータ+一部の実データ(テンプレートで定義) | 5日に1回 | データありでの検証、トレーニング用 | テンプレート定義が必要 |
Full Sandbox | メタデータ+すべての実データ(完全コピー) | 29日に1回 | UAT、総合テスト、本番演習、外部連携確認 | 更新に時間がかかる場合あり |
📌 それぞれの特徴と注意点
🟦 Developer Sandbox(開発サンドボックス)
- データ: 設定情報(メタデータ)のみ。レコードデータはゼロ。
- ストレージ: 少ない(200MBのデータストレージ、メタデータは含まない)
- 用途: 個人での開発、フローやバリデーションルールの設計とテスト、学習用
- 更新: 1日1回まで。作成・リフレッシュにすぐ対応可能。
🟩 Developer Pro Sandbox
- Developerより保存容量が多いため、大きめのデータ構成にも対応。
- 用途: 複数人での作業や中規模開発、AppExchange製品の事前検証など。
🟨 Partial Copy Sandbox(部分コピーサンドボックス)
- データ量制限あり: 5GBまで(契約により異なる)
- テンプレート設定が必要: コピー対象のオブジェクトを選択(レコードはランダムに最大10,000件)
- 用途: テストデータを使った検証、ユーザートレーニング
- 更新頻度: 5日に1回
🟥 Full Sandbox(完全コピーサンドボックス)
- メタデータ+全データをまるごとコピー(商談、顧客、Chatter投稿など全部)
- 用途: リリース前の最終テスト(UAT)、本番に近いパフォーマンステスト、統合テスト
- 注意点:
- 作成・更新には数時間〜数日かかる場合あり(データ量次第)
- 更新(Refresh)は29日ごとに1回まで
🔢 利用可能なサンドボックス数(エディションによる)
エディション名 | Developer | Developer Pro | Partial Copy | Full Sandbox |
---|---|---|---|---|
Enterprise | 25個 | 0〜数個(契約次第) | 1個(オプション) | なし/別料金で追加可能 |
Performance / Unlimited | 多数 | 多数 | 1〜数個 | 1個(標準)+追加可能 |
※実際の数はSalesforce契約内容に依存します。管理者は「設定
> 環境 >Sandbox
」で確認可能です。
📘 更新とは?
「更新」とは、サンドボックスをいったん削除して、再度最新の本番環境の状態で作り直すことです。
変更やテストを繰り返したサンドボックスをリセットしたいときや、本番の最新データで再検証したいときに使います。
🚀 本番環境に反映するには?(変更セット or デプロイ)
サンドボックスで作成・テストした内容は、自動では本番環境に反映されません。
反映させるには、以下の方法を使います:
- 変更セット(Change Set)
GUIベースで、項目やフローなどを本番に移せる
初心者にもやさしいが、設定項目によっては使えない場合も - Salesforce CLI / メタデータAPI
開発者向け。細かい管理や自動化が可能
💡 よくある落とし穴と注意点
落とし穴 | 対策 |
---|---|
フローは動くけどメール通知が飛ばない | サンドボックスでは送信制限がある |
バッチ処理や外部連携が動かない | 接続設定は本番と同じではないことが多い |
データが古い/足りない | Full Sandboxでないとすべてのデータはコピーされない |
🌟 ノックスの格言
「本番とは、すべてが記録される“運命の舞台”。その前に、何度も稽古できる場所が“サンドボックス”なのです」
(銀河歴8225年 ネクタリス・オーヴァ演劇情報工学部 実技演習より)
(英語訳:”Production is the stage of fate where all is recorded. A sandbox is the place where you rehearse, again and again.”)
(原語訳:”Valtherion solven or’drathi ul ferana. El’noria sandbox ven thal verein, ven talverin, ven aetra.”)
💡 まおの学びメモ
- 本番環境での操作は取り返しがつかないこともある。まずはサンドボックスでテスト!
- サンドボックスの種類によってコピーできるデータ量や目的が違う。使い分けが大事。
では、また次回の 異星人Salesforce講座 でお会いしましょう!👽✨